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瓦屋が徹底解説!陶器瓦・いぶし瓦・素焼瓦・セメント瓦それぞれの特徴とは

  • 屋根にまつわる情報発信

日本の伝統的な建材のひとつ、瓦には実は複数の種類があります。
しかしながら瓦に種類があることや、種類ごとの特性はあまり知られていないように思います。
元々瓦の製造からスタートした、瓦のプロである藤井製瓦工業が本記事で徹底解説します。

素材によって細分化される瓦の種類

今回の記事では主に、素材による種類分けの話をさせていただきます。
瓦がなにで作られているかご存知でしょうか。
粘土で作られるものが主流ですが、実はセメントなどで作られるものもあり素材によって見た目はもちろん特徴も異なります。

耐久性が高く主流な「粘土瓦」

粘土瓦とはその名の通り粘土から作られる瓦です。
粘土を瓦の形に成型し焼き上げる瓦で、製法の違いからさらに細分化することができます。

色艶が長持ちする「陶器瓦」

陶器瓦
陶器瓦は粘土で瓦の形に成型したあと釉薬(ゆうやく)という薬剤を塗って高温で焼き上げる瓦です。
最も一般的な瓦で、釉薬を塗るため艶のある仕上がりとなります。
使用する釉薬により色も異なり、形状もJ形(和形)、F形(平板)、S形など種類豊富で好みのものを探しやすいでしょう。
瓦と聞いて思い浮かべる代表的な形がJ形で、波のない平らな形がF形、スパニッシュに由来する山と谷がテーパ状になった形がS形です。
J形は所謂日本建築に使用されることが多く、F形は近年増えているモダンな瓦屋根に使用されることが多く、S形は地中海のような洋風建築に使用されることが多いと説明するとイメージが湧きやすいでしょうか。
陶器瓦は、釉薬を塗っているため水分を吸いづらく耐水性が高い点も特徴です。
耐久性が高く築年から長期間が経過してもほとんど変色しないため、色や艶を長持ちさせたい人に最適な瓦と言えます。
丈夫で艶の美しい伝統的な瓦「陶器瓦」について:特徴やメンテナンスを解説

渋い銀色が趣のある「いぶし瓦」

いぶし瓦

いぶし瓦は釉薬をかけずに焼いたあと、空気を遮断した蒸し焼きにする瓦です。
この蒸し焼きにする工程を「燻火行程」と言い、瓦表面に炭素膜を形成させることで「いぶし銀」と呼ばれる銀鼠色に仕上がります。
いぶし瓦特有のこの渋い銀色は瓦ごとに個体差が出るため、均一ではない独特の美しさがあります。
寺社の屋根に使用されることの多い瓦はこのいぶし瓦です。
表面の炭素膜は永久的なものではなく、経年とともに剥がれていきます。
しかし保護膜が剥がれても元々耐久性の高いいぶし瓦にはあまり影響はありません。
経年とともに発生する色むらも、いぶし瓦の趣として楽しめるでしょう。
陶器瓦とはまた違った魅力を持つ「いぶし瓦」その魅力と注意事項を解説

赤みのある洋風な色合い「素焼瓦」

素焼瓦

 

素焼瓦は釉薬をかけずにそのまま焼き上げる瓦です。
陶器瓦のように釉薬をかけるわけでもなく、いぶし瓦のように蒸し焼きにする工程も行いません。
文字通り素のまま焼き上げるため粘土の朱色がよく出た仕上がりになります。
温かみのあるオレンジがかった赤色が洋風建築にも馴染みやすく、日本では沖縄の住宅で見かけることの多い瓦です。
テラコッタ瓦やスパニッシュ瓦と呼ばれることもあります。
陶器瓦やいぶし瓦よりもやや安価で、ナチュラルな風合いが魅力です。

セメントを主成分とした「セメント瓦」

安価に瓦のデザインを楽しめる「セメント瓦」

セメント瓦

セメント瓦は文字通りセメントを主成分とした瓦です。
正確にはプレスセメント瓦と言うものの、セメント瓦と呼ばれることが多いです。
製造時に塗料で着色を行っており、この塗料は10~20年程度で剥げてきてしまうため定期的に再塗装を行うことが推奨されます。
粘土ではなくセメントで作られているため焼き上げる必要がなく、製造効率が良い点も特徴です。
粘土瓦が現在よりもさらに高価だった頃は手頃に瓦のデザインを楽しめるとして人気の高かったセメント瓦ですが、現在は粘土瓦の価格が以前より抑えられたこともありセメント瓦の需要は低下しています。
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プレスセメント瓦とは:セメント瓦の種類とプレスセメント瓦のメンテナンス


セメント瓦の再塗装は藤井製瓦工業でも承っています。
費用等詳細は以下のページに載せているためご確認ください。

プレスセメント瓦のシリコン塗装

ヨーロッパから輸入され広まった「モニエル瓦」

モニエル瓦

モニエル瓦はセメント瓦と非常に類似していて、セメントに砂利を混ぜたコンクリートでできた瓦です。
「乾式コンクリート瓦」や「乾式洋瓦」と呼ばれることもあります。
元々ヨーロッパから輸入された瓦で、洋風なデザインと豊富なカラーバリエーションが特徴です。
セメント瓦と同じく焼かずに作るため製造効率が良く安価なため1970~1980年頃に人気を博したものの、2010年に日本モニエルがなくなってしまったことで現在日本では製造されていません。
現在モニエル瓦を使用した住宅にお住まいの方は、部分的に修繕を行うとしてもまったく同じ瓦を補填することができない点は注意が必要です。
セメント瓦とモニエル瓦は外見や材料が似ていることから混同されることも多いものの、細かい違いがあります。
このふたつの違いは以下の記事で解説しているため、気になる方はぜひご覧ください。

【セメント瓦とモニエル瓦の違いとは】主成分や特徴の違いについて徹底解説

 

産地別で見る瓦の種類

粘土瓦は産地によって○○瓦と名称がついていて、産地ごとに特徴も異なります。
現在流通している粘土瓦の約8割が、愛知県三河地方、島根県石見地方、兵庫県淡路島のいずれかで製造されています。
愛知県三河地方の「三州瓦」、島根県石見地方の「石州瓦」、兵庫県淡路島の「淡路瓦」です。
三州瓦はなんと現在流通している粘土瓦の約6割を占めています。
全国的に流通量が多いため比較的安価で、多くの屋根屋やハウスメーカーで取り扱いがあります。
石州瓦は3種類の中で最も高温で焼き上げるため防水性が高く冷害や塩害に強いです。
淡路瓦はいぶし瓦の製造が非常に多く、「なめ土」という良質な土で焼き上げることによってきめ細かい仕上がりとなります。

まとめ

一口に瓦と言っても実は種類が多岐にわたり、それぞれに特徴があります。
見た目の好みはもちろん、耐久性や手入れのしやすさなど様々な角度からご希望に近いものを選ぶことが大切です。
ぜひご自身のライフスタイルに合った瓦を選んでみてください。
瓦は耐久性が非常に高いため適切なメンテナンスを行うことで、長く付き合っていくことのできる建材です。

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藤井製瓦工業 職人、スタッフ
藤井製瓦工業は広島県福山市に拠点を置く、創業120年超の老舗屋根屋です。
屋根に関する工事全般に対応しています。

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対応エリアは以下の通りです。
広島県福山市、尾道市、三原市、府中市、神石高原町
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基本的には福山市から車で60分圏内であれば対応可能です。
上記以外のエリアにお住まいの方も、お気軽に一度ご相談ください。

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