瓦屋根の瓦は、稀にずれてしまうことがあります。
原因の多くは地震や台風といった自然災害です。
瓦のずれは放置すると雨漏りなどの二次被害を引き起こす可能性も高いため、放置せず早めに補修を行ってください。
ずれた瓦が落下して人に当たる可能性もあるため、住人の安全のためにも放置は厳禁です。
今回の記事では瓦屋根に起こる瓦のずれについて、原因や対処法を紹介します。

瓦がずれる原因

施工方法が古いことによる「瓦の固定力」の低下

現在とは異なり、古い住宅の瓦屋根では瓦の下に泥を敷いていました。
これは「土葺き」と呼ばれ、泥の粘着力で瓦を固定しています。
しかし、泥は時間と共に風化や乾燥・収縮が進み、瓦を固定する力は徐々に衰えていきます。
それが瓦のずれにつながります。
土葺きの古い瓦屋根では瓦がずれるリスクが高いのはこのためです。

目安として、土葺きが採用されている古い瓦屋根は「築50年以上」の家と考えていただくと良いでしょう。
ちなみに、現在の瓦屋根は瓦を桟木(瓦桟)に爪を引っ掛け緊結用の釘で固定する工法になりました。

地震や台風などの自然災害

自然災害発生時には、瓦がずれる被害があります。
瓦屋根は重い屋根材なので、特に地震の際に被害を受けやすいです。
台風の場合は予防ができるので、経年劣化が進んでいる瓦屋根の場合は事前に点検を行うことをお勧めします。

 

瓦のずれを放置する問題点

雨漏りのリスク

瓦のずれを放置していると、雨漏りのリスクが高まります。
ずれてできた隙間から雨水が屋根材内部に侵入するからです。
ただし、それですぐに雨漏りが発生するわけではありません。
瓦屋根を含むすべての屋根は、下地にルーフィングと呼ばれる防水シートが貼ってあります。
（屋根は垂木という骨組みの上に野地板という木材板を貼り、野地板にルーフィングを貼って下地をつくっています。）
ただ、雨漏りのリスクが高まることは確かです。
特にルーフィングが劣化していた場合は、そのまま雨漏りにつながる可能性も十分にあります。

ルーフィングの劣化リスク

すぐに雨漏りが発生しなかったとしても、ルーフィングの劣化を早めてしまうことは大きな問題です。
ルーフィングの寿命は瓦に比べると短く、最も普及率の高いルーフィング材でも8年～10年程度です。
瓦のずれを放置するとルーフィングの寿命が短くなってしまい、結果として雨漏りのリスクを高めてしまうことに繋がります。
ルーフィングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
屋根において非常に重要なものなので、ぜひ併せてご覧ください。

屋根の下地に必要不可欠なルーフィング：役割や種類、メンテナンスについて

 

瓦がずれた場合の対処法

瓦を再度施工

ずれた瓦に大きな破損などがなく、ただ外れてしまっただけであれば、再度その瓦を屋根に施工できることがあります。

新しい瓦に交換

ずれた瓦に欠けやひび割れが発生していた場合には、交換が必要です。
通常どこの専門業者でも、瓦の交換は1枚から請け負ってくれます。

 

瓦屋根のトラブルを防ぐため

瓦は屋根の中でも特に耐用年数の長い屋根材です。
しかし絶対にトラブルの起きない屋根はありません。
トラブルを未然に防ぐためには、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。
瓦自体だけでなく、瓦屋根に使用されている漆喰やルーフィング等様々な建材がメンテナンスを必要とします。
目安としては、10～20年に1回程度はメンテナンスを行うと良いでしょう。

 

瓦のずれを指摘する訪問営業には要注意

瓦屋根のメンテナンスは大切なことですが、1点注意していただきたいことがあります。
それは、瓦屋根が悪徳業者に狙われやすいということです。
突然訪問してきた業者が「瓦屋根の瓦がずれているから早急に修繕した方が良い」等の声掛けをしてきた際は、ご注意ください。
悪徳業者による詐欺である可能性が高いため、すぐに契約しないようにしてください。
手口や対処法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
特にご高齢の方は狙われやすいです。ぜひ一度ご覧ください。

広島県福山市で悪徳屋根業者に注意！よく使われる手口と悪徳被害増加の背景を紹介

 

まとめ

瓦屋根において、築年数が経過した場合もしくは自然災害が起きた場合に瓦のずれが起こることがあります。
特に地震があった際に発生することが多いです。
瓦は耐用年数が長いため著しい経年劣化が起こることは少ないものの、重さがあるため地震によって外れてしまうことがあります。
築年数の経過した瓦屋根に関しては、現代とは異なり土葺きという固定力の弱い施工方法がとられていることもあるため瓦がずれるリスクも高まります。
自然災害発生時にトラブルが起きることを防ぐためには、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。

 

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