瓦屋根の修理「棟の取り直し」とは?棟の劣化や損傷の原因と修理費用を解説
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屋根の最上部に位置する「棟(むね)」は、屋根面同士が合わさった山型の部分を指し、雨風や紫外線から屋根全体を守る重要な役割を果たしています。しかし、棟は常に外部環境にさらされるため、経年劣化や自然災害によって損傷が生じやすい箇所でもあります。こうした劣化や損傷を放置すると、雨水が屋根内部に侵入し、雨漏りや住宅構造の腐食を招く恐れがあるため、早めの対応が必要です。
目次
棟の取り直しとは
屋根の棟の位置や呼び名
そもそも棟とはどこを指すのかというと、屋根面同士が山型に合わさっている部分です。厳密に説明すると、最上部の屋根面接合部を「大棟」と言い、大棟から地面に向かって斜め下に伸びている屋根面接合部を「隅棟」と言います。つまり棟にも種類があるということです。しかし最上部の大棟が棟の代表格であり大棟を指して「棟」と言うことが多いため、本記事でも棟=大棟の意味で記載しています。棟は屋根棟と呼ばれることもあります。
屋根の形状によって、棟の数は異なります。棟は屋根の形状を決める重要な要素です。棟と屋根形状の関係性については、以下の記事で詳しく解説しています。
大棟と隅棟の違いはなに?棟の数は屋根によって違う?棟と屋根形状の関係性
棟の取り直しの工事概要
「棟の取り直し」とは、棟の劣化や損傷が進んだ際に古い棟を撤去し、新しい棟を再設置する作業のことです。棟の劣化や損傷を放置すると家全体の耐久性が低下するため、適切なメンテナンスや修理が求められます。
棟の劣化や損傷の原因
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経年劣化
屋根の棟は、屋根の中でも特に過酷な条件にさらされます。太陽の紫外線、風、雨、雪などの自然環境の影響を受けやすいため、徐々に素材が劣化します。棟を構成する要素である棟瓦や漆喰、棟板金などは定期的なメンテナンスがないと、経年劣化によってひび割れやズレが生じやすくなります。
自然災害
台風や大雪、地震などの自然災害は、棟に直接的なダメージを与えます。特に台風や強風では、棟瓦がズレるトラブルや棟板金が剥がれるトラブルが多く見られます。また、大雪や地震によって棟の下地が損傷することもあり、これにより雨漏りのリスクが高まります。
点検不足
定期的な点検を怠ると、棟の劣化や損傷に気づかずに被害が拡大してしまうことがあります。特に屋根の最上部に位置する棟は日常的に目が届きにくいため、専門業者による点検を定期的に行うことが重要です。
棟の取り直しが必要なサイン
漆喰の剥がれ
瓦屋根の場合、瓦の隙間を埋めるように施工される漆喰が劣化し、コケの発生や漆喰のひび割れ/剥がれなどが起こることがあります。すぐにではないものの、漆喰の劣化を放置すると結果として雨漏りに発展する可能性もあります。漆喰の塗り直しのみで修繕が完了するケースも多いですが、漆喰の劣化もひとつのサインです。一度専門業者に劣化状況を確認してもらうと良いでしょう。
棟のズレ
瓦屋根の場合、棟は熨斗瓦という平たい瓦を積み上げてつくられます。この積み上げた熨斗瓦が、経年劣化や自然災害によってズレてしまうことがあります。棟にズレが発生した際は早急に専門業者にご相談ください。
釘・ビスの浮きや抜け
棟板金の場合、板金を固定している釘やビスが経年劣化によって浮いたり、抜けたりすることがあります。釘やビスが浮いてできた穴の隙間から雨水が内部に侵入し、棟全体の劣化を促進させている可能性があります。また釘が浮いている状態を放置すると、強風が吹いた際に棟板金が風で飛ばされてしまう可能性もあります。釘やビスの浮きは10~15年でほぼ確実に起こる事象です。定期的な点検をおすすめします。
棟の取り直しにかかる費用と工期
棟の取り直しには、棟瓦や棟板金などの屋根材の種類や状態によって費用や工期が異なります。以下では、一般的な棟瓦と棟板金のケースについて解説します。
棟瓦の場合の費用と工期
瓦屋根における棟の取り直し工事では、まず古い棟瓦やその下にある熨斗瓦(のしがわら)や漆喰を撤去します。再利用可能な瓦があれば、新しい棟の設置時に再度使用されます。漆喰の補修や瓦の再利用の有無によって、費用が変動します。
藤井製瓦工業における瓦屋根の棟の積み直しは、片面1mあたり15,000円~(税込)で承っております。
藤井製瓦工業|棟の積み直し工事
棟板金の場合の費用と工期
板金屋根における棟の取り直し工事では、古い棟板金とその下の貫板(ぬきいた)を撤去し、新しい棟板金を設置します。貫板が木材の場合、腐食していることが多く、交換が必要です。近年では、木材ではなくアルミを使用することで、耐久性を向上させる方法もあります。
棟の修理に保険が適用されるケース
棟の取り直し費用は場合によっては火災保険や地震保険が適用されることがあります。特に、台風や雪害などの自然災害による損傷が原因の場合は、保険が適用されるケースが多いです。しかし、経年劣化による修理は基本的に保険適用外となるため注意が必要です。
火災保険や地震保険を適用する場合、被災から3年以内に申請を行う必要があります。保険会社に事前に確認し、修理業者と連携して適切な手続きを行うことが重要です。
家のトラブルにまつわる、火災保険の適用については以下の記事で詳しく解説しています。
屋根や外壁など、家の自然災害被害の修繕に火災保険が適用されるって本当!?
まとめ
棟の劣化や損傷は、雨漏りや住宅全体の耐久性低下に直結するため、早めの対応が必要です。棟の取り直しは専門知識や技術が必要な作業であるため、信頼できる業者に依頼してください。定期的な点検とメンテナンスを行い、棟の状態を把握することで、長期に渡って屋根および家全体を守ることができます。
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